WSJT-XとJTDXのログファイルの共有

【前振り】

WSJT-XとJTDXは起源は同じです。それぞれ特徴があるので適宜使い分けされている方もいらっしゃると思います。

交信情報はそれぞれのソフトで管理するフォルダ内にADIF形式で保存されます。ソフトや--rig-name機能を利用するとログデータが複数生成されることになります。

交信情報の一元管理したい場合は,Windowsのハードリンクという機能が有用です。WSJT-XあるいはJTDXにしかないモード両方を試したいとう方のお役に立てば幸いです。(ログの一元管理はJT-Alertでもできます)

【確認したアプリケーションのバージョン】

WSJT-X:1.8.0
JTDX:18.0

【!注意!】

  • WSJT-XとJTDXの同時起動できますが、お互いにうまく機能しません(JTDXのバージョンアップにより同時起動ができるようになっているかも知れません)
  • この作業前に限らず、ログファイルは何らかの手段でバックアップをお勧めしたいです
  • JTDXにないモード(QRA64など)、WSJT-Xにないモード(T10)の記録に不具合があるかも知れません
  • WSJT-XやJTDXでRigの切り替え機能(--rig-name="FT-817ND"などを付けて起動する)を利用している場合は、Rig毎のフォルダにハードリンクを設定します
  • ここで紹介した手順、その結果は私自身が試したものですが、皆様の環境で問題がないことを保証するものではありません
  • ログ・ファイルが壊れるなどいかなる不具合も免責とさせていただきますm(_ _)m

【前提(ログファイルの保存場所など)】

運用しているパソコンのOSはWindows10です。

WSJT-XとJTDXのログファイルは不可視フォルダの中に生成されます。同じファイル名(ADIF形式:wsjtx_log.adi)を使っていますが異なるフォルダ内にあり、ログファイル名の変更機能(保存場所指定も含めて)がないため共有には一手間必要です。(WSJT-Xのソースファイルを見るとユーザによるログファイル名変更機能追加はTodoになってます。この機能が実装されるまではこの記事の内容が役に立ちそうです)

それぞれのアプリケーションのデフォルトのログファイル保存場所です。

WSJT-X:c:\users\%username%\AppData\Local\WSJI-X\Aフォルダ
JTDX:c:\users\%username%\AppData\Local\JTDX\Bフォルダ

パスに含まれる「%username%」はWindowsの環境変数で,ログオンしているユーザ名に自動的に置き換えられるのでこの文字列のままでフォルダを直接開けます(コピー&ペーストでOK)

手順例ではWSJT-Xのログファイルを基にJTDXと共有する設定としています。JTDXのログファイルがない前提です

(同名のファイルがある場合ハードリンク生成のコマンドは失敗します。Bフォルダ内にログファイルがある場合は何らかの方法でAフォルダのログファイルにデータマージしておき、Bフォルダ内のログファイルは削除しておきます)

【手順例1】Windows10 Creators Updateより前のバージョンをお使いの場合

  1. WSJT-XとJTDXを終了しておく
  2. WSJT-Xのログファイルがあるフォルダを開きコマンドウィンドウを表示する
    • Windowsメニューから「ファイル名を指定して実行」
    • 「名前(O):」に”c:\users\%username%\AppData\Local\WSJI-X\”を入力して「OK」ボタンを押す
    • 開いたフォルダウィンドウのファイルのないところでシフトキーを押しながら右クリックし、「コマンドウィンドウをここで開く」を選択
  3. ログファイルのハードリンクを生成する
    • コマンドウィンドウにコマンドなどを入力してEnterキーを押す

      入力例1:mklink /h ..\JTDX\wsjtx_log.adi wsjtx_log.adi

      ハードリンクを生成する場所が上記場所でない場合は適宜、相対パスか絶対パスで指定してください。
      ハードリンクで作りたいファイルのパスに空白がある場合はダブルコーテーション「"」で括る必要があります。JTDXでリグ別に設定しているケースなどです。(例:..\JTDX - FT-817ND)

      入力例2:mklink /h "..\JTDX - FT-817ND\wsjtx_log.adi" wsjtx_log.adi

    • コマンドウィンドウで結果を確認する

      出力例:..\JTDX\wsjtx_log.adi <<===>> wsjtx_log.adi のハードリンクが作成されました

  4. コマンドウィンドウ、WSJT-Xのフォルダなどを閉じる
  5. WSJT-X、JTDXでそれぞれロギングできることを確認する

【手順例2】Windows10 Creators Update適用した方

  1. WSJT-XとJTDXを終了しておく
  2. WSJT-Xのログファイルがあるフォルダを開きPowerShellウィンドウを表示する
    • Windowsメニューから「ファイル名を指定して実行」
    • 「名前(O):」に”c:\users\%username%\AppData\Local\WSJI-X\”を入力して「OK」ボタンを押す
    • 開いたフォルダウィンドウのファイルのないところでシフトキーを押しながら右クリックし、「PowerShellウィンドウをここに開く」を選択
  3. ログファイルのハードリンクを生成する
    • コマンドウィンドウにコマンドなどを入力してEnterキーを押す

      入力例1:cmd /c mklink /h ..\JTDX\wsjtx_log.adi wsjtx_log.adi

      ハードリンクを生成する場所が上記場所でない場合は適宜、相対パスか絶対パスで指定してください。
      ハードリンクで作りたいファイルのパスに空白がある場合はダブルコーテーション「"」(またはシングルコーテーション)で括る必要があります。JTDXでリグ別に設定しているケースなどです。(例:..\JTDX - FT-817ND)

      入力例2:cmd /c mklink /h "..\JTDX - FT-817ND\wsjtx_log.adi" wsjtx_log.adi

    • PowerShellウィンドウで結果を確認する

      出力例:..\JTDX\wsjtx_log.adi <<===>> wsjtx_log.adi のハードリンクが作成されました

  4. PowerShellウィンドウ、WSJT-Xのフォルダなどを閉じる
  5. WSJT-X、JTDXでそれぞれロギングできることを確認する

【ログファイルの統合(マージ)】

マージ(重複したデータの除いてデータを正規化する)は実に骨の折れる作業です^^;
WSJT-XとJTDXのログデータに重複がないことがわかっている場合はデータをテキストエディタ(メモ帳など)で読み込んでコピペなどでマージするだけです。ちなみにB4などの判定にはログデータの並び順は関係なさそうです。ADIFとは違うデータベースをSQLiteで構築して判定しているようです。
私の場合はログデータの重複に自信があったので(笑)、eQSL.ccで紹介されていてるロギングソフトでマージができそうなものを探そうとしましたが断念しました。

JT65-HF-HB9HQX版のログ管理機能でJT65のログデータを正規化

ADIFがインポートもできるのでWSJT-XとJTDXのログを”追加”で読み込んでみるとログデータの重複ない状態にできました。
ただしJT9などJT65-HF-HB9HQXにないモードのデータは取り込めないようなので別枠(次項)で整理します。

ADIF MasterでJT9のログデータを抽出

ADIF形式のデータはプレーンテキストですので閲覧・加工するにはテキストエディタ(メモ帳など)が使えます。ただ並べ替えたり絞り込んだり、項目毎に編集(修整)したりするのはADIF Masterというアプリケーションが有用でした。

  1. ADIF MasterにWSJT-Xのログデータを読み込む
  2. モードでソートしてJT9以外のデータを削除する(Delete Row)
  3. ファイル名を付け保存する(例:temp_wsjt-x_log.adi)
  4. ADIF MasterにJTDXのログデータを読み込む
  5. モードでソートしてJT9以外のデータを削除する(Delete Row)
  6. ファイル名を付け保存する(例:temp_jtdx_log.adi)
  7. ADIF MasterにJT9だけになった2つのデータを読み込む(2つめは追加読み込み)
  8. 日付でソートしてコールサインや時刻を比較して重複するログを削除する(Delete Row)
  9. ファイル名を付け保存する(例:merged_log.adi)

改訂履歴

日付内容
2017/11/05
  • WSJT-X、JTDXの最新リリース版でも共有できています
  • 注意事項を修正しました   
2017/05/13
  • Windows10 Creators Update適用の前後での手順の違いをそれぞれ記載しました
  • 誤字修正^^;   
2017/05/12
  • 免責事項を追加させていただきました
  • 文章の一部を微修正しました   
2017/05/11
  • バージョン17.8にアップデートしたJTDXでもログが共有できることが確認できました   
2017/05/03
  • Windows 10 Creators Updateを適用後の変更点を追記しました   
2017/03/18
  • Windowsを前提にしていることを追記しました   
2017/03/12
  • JTDXの17.6.1でもログファイルが共有できることを確認しました
2017/03/02
  • 本文末の改訂履歴の日付が間違っていました(涙)   
  • JTDXの17.6.0でもログファイルが共有できることを確認しました   
  • ログデータのマージ手順を少し丁寧に書き直しました   
  • ご注意いただきたいことにJTDXのRig切替え機能を追加しました   
  • 全体的に文章、htmlのタグの追加・修整しました(久々にhtml書いたので疲れました)
2017/03/01
  • ログファイルのマージ方法を追加しました
  • ダブルコーションでくくる必要がある場合の例示を追加しました
  • ご注意いただきたいことに実装されているモードの違いを追加しました
2017/02/27
  • 初めて公開しました

2 件のコメント:

  1. こんにちは、JR0KTFと申します。

    リグ別にJTDXを起動していたので、ハードリンクの作成コマンドが「構文エラー」になり困っていました。この記事を拝見し、「ハードリンクで作りたいファイルのパスに空白がある場合はダブルコーテーション「"」(またはシングルコーテーション)で括る必要があります。JTDXでリグ別に設定しているケースなどです。」を読んで学習できました。
    たいへん参考になる記事をありがとうございます。

    返信削除
  2. JR0KTFさん
    コメントありがとうございます(^^)
    お役に立てて嬉しいです。

    GUIで簡単にハードリンクできるアプリケーションもあるので試用して問題なければまた記事にしようと思います。

    返信削除

開設同意書の押印省略

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